The Cabinet of a Certain Care-Manager

特養を増やす必要は本当にあるのか

出生率1.8へ子育て支援 首相、介護離職ゼロめざす 総裁再選会見 2020年へ「新3本の矢」 | 日本経済新聞

「仕事と介護の両立は大きな課題だ」とし、家族らの介護を理由に退職せざるを得ない「介護離職」をゼロにしたいとの目標を示した。要介護度3以上で特別養護老人ホームなどへの入所を自宅で待つ待機者は現在約15万人おり、特養など介護施設の整備や介護人材の育成を進める考えも示した。

15万人? そんなに少ない数字だったっけ? と思い見てみた。

特別養護老人ホームの入所申込者の状況(平成26年3月) | 厚生労働省

なるほど、確かにここに掲載されている表で、要介護度3以上で在宅の方をみると、約15万人となる。

特別養護老人ホームへの入所申込は、一人一施設などと決まっているわけではないので、複数の施設に申し込む方は多い。この調査ではそうした重複も考慮されているらしいが、さて実際のところはどうだろう。本当に重複が排除されているのだろうか。

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有料老人ホームと送迎の費用

多くの通所介護事業所(デイサービス)は、運営規程等に定める通常の営業区域外への送迎について、費用を徴収すると定めている。
これは基準省令(「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」平成11年3月31日厚生省令第37号)第96条3項に記されている正当な行為である。

3  指定通所介護事業者は、前二項の支払を受ける額のほか、次の各号に掲げる費用の額の支払を利用者から受けることができる。
一  利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用

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頻繁なナースコールにはどう対応すべきかを考える

頻繁に、時には数分間隔でナースコールのボタンを押す利用者さんの対応に悩んだことがない施設介護職員は、むしろ少数ではないだろうか。
我々はそうした利用者さんに対し、どのように対応するべきなのだろうか。

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ナースコール端末ハンディフォンを防水加工してみた

iPhoneを防水化するスプレーが、クラウドファンディングによって製品化されようとしているという記事をネット上で見かけたのは、昨年の初め頃だったか。
その製品は昨年末には発売され、紹介する記事も多数書かれた。

この製品である。

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抽象的思考が苦手な日本人とケアプランを作る側・作られる側

日本人は抽象的思考が苦手だとよく言われる。
これは、日本人は全知全能の神をもたないため、「神とは何か」を考えないことと関係していると私は思っている。日本人は哲学が苦手なのだ。

森本哲郎氏は、日本人が抽象的思考を苦手とする理由について、日本語が発達初期の段階で漢語を採り入れ、抽象語を漢語に頼るようになったためだと考えていた(『ことばへの旅』)。
そんな昔の言語の成立過程が、現代のわれわれの思考にそれほど色濃く影響を残すものかという疑問はあるが、面白い考え方だと思う。

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事故とヒヤリハットの境界線

このブログのアクセスログを見ていると、「事故(アクシデント)とヒヤリハット(インシデント)の違い」といったキーワードで検索されている方が時々いる。

両者のどこに境界線を引くかは、それぞれの法人、事業所が決めれば良いことだ。
しかし実際は、明確に定義している事業所の方が少ないのではないかと思うし、ましてや新人のうちは迷うこともあるだろう。その事業所が、事故とヒヤリハットの報告書の書式を分けていたりすればなおさらだ。

うちの施設では、事故とヒヤリハットの報告書式を同じとしている(「ヒヤリハット・事故報告書の書式を考える」参照)ので、時々判断がつかなかったのか、「事故」「ヒヤリハット」のどちらにも〇をせずに報告書が上がってくることがある。
個人的には、そこを区別することは大した問題ではなく、大事なのはいかに今後の事故を防いでいくかだと思っているので、そのまま受理しているが、書式が分かれてしまっていればそういうわけにもいかないだろう。

ヒヤリハットと事故の間の境界線はどこに引かれるべきなのだろうか。

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ネット上の介護相談への回答を考えるのは、相談員としての訓練になる

生活相談員を育成する方法について考えていて、思いついた。

相談員として成長するためには、結局のところ相談援助の経験を積むしかない。何とかそれを疑似的に訓練することはできないものだろうか。
そうだ、ネット上の相談への回答を考えてみるのはどうだろう? と。

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ユニットケアの理想は実現できるのか

介護の仕事をしている人でユニットケアという言葉を知らない人はいないだろうが、一般にはどの程度認知されているだろうか。

これは、10人程度もしくはそれ以下の数の利用者さんを、共同生活を営む1つの生活単位としてまとめ、職員も専属配置し、互いに馴染みのある関係を築いて、画一的なケアからの脱却を図ろうとする手法のことである。
最大の目的は個別ケアの実現だ。決まった時間になったら居室を順番に回ってオムツを交換したり、利用者さんを食堂に集めて風船バレーをしたりするのではなく、それぞれの方の排泄リズムや嗜好、生活歴などを考慮し尊重したケアを行う。

ユニットケアを行うことが目的なのではない。あくまで個別ケアを実現するための手段として、最も有効な手段の一つだとして喧伝されてきたのである。
国が施設の個室化を推進し、自治体もそれに従う形で介護保険事業計画を立ててきた結果、少なくない数の特別養護老人ホームがこれを採用した。

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